よく見聞きする「○○のほう」という表現。
いわゆる「アルバイト敬語」のひとつとしてあげられるこの用法、皆さんも耳にする機会が多く、また無意識に使っている方もいらっしゃるのではないでしょうか。
「○○のほう」が使い方として正しい場合と誤っている場合
アルバイト敬語と聞くと、全て誤った用法のように感じていしまいますが、「○○のほう」という表現は必ずしも誤っているわけではありません。正しい使い方と誤った使い方について、それぞれ解説してゆきます。
正しい「〇〇のほう」の使い方
”ほう”は、”おおまかな方角や方向を伴う場合”や”2つ以上の選択肢があるときにどれかを指し示す場合”に使用するのは正しい用法です。
方角や方向を表す場合
- 北のほう(方)から援軍がこちらに向かっております
- 雨漏りしているのは左ではなく右のほう(方)の屋根に穴が空いているからだ
「北から援軍が」と言われるよりも、「北のほうから援軍が」と言われたほうがどちらかというと大まかでぼやけた印象を受けると思います。
そのため、ある程度不明確な方角や方向を示したいときには”ほう”を用いることにより、自分が伝えたい雰囲気を相手に伝えやすくなることもあります。
選択肢の中から選ぶ
- 白と黒であれば、黒いほうを私にください。
- 中村さんの提案も良かったが、佐藤さんのほうの提案がお気に召したようだ。
それぞれ”ほう”を抜いても相手に伝わりますが、使用しても誤りではありません。
誤りではありませんが、「黒を私に」と表現すると強く明確な意志を感じますが、「黒いほうを私に」と表現すると、先程の方角や方向と同じく少しだけ意志がぼやけて柔らかく感じると思います。
誤った「○○のほう」の使い方
次に誤った使い方について説明します。
アルバイト敬語と揶揄されるように、言葉を発する側は丁寧な表現をしようとして誤用法している場合が多いです。
- ご確認のほうよろしくお願いいたします。
- お会計のほうが2300円でございます。
- お茶のほうお持ちしました。
- 朝礼のほう始めます。
このような表現、よく耳にするのではないでしょうか。
○○のほうを言い換えるなら
誤った○○のほうを言い換えるのは簡単です。
「○○のほう」の代わりに、「○○は」「○○を」を使うことで正しく表現することができます。
×ご確認のほうよろしくお願いいたします。
→ご確認よろしくお願いいたします。
×お会計のほうが2300円になります。
→お会計は2,300円です。
×お茶のほうお持ちしました。
→お茶をお持ちしました。
×朝礼のほう始めさせていただきます。
→朝礼を始めます。
正しく言い換えるのは簡単ですね!