「こちらが会議の資料になります。」
「お待たせいたしました。ハンバーグになります。」
毎日のように耳にする「○○になります」という表現ですが、これは正しい言い回しなのでしょうか。
これは用法として正しい場合もありますが、誤って使われていることがとても多い表現です。
正しい場合と誤っている場合について、それぞれ見てゆきましょう。また、誤った表現である場合、どのように言い換えるとよいかについても解説します。
誤った用法の「○○になります」
先に、よく使われる誤った用法からみていきます。
○○になりますは、いわゆるアルバイト敬語の代表格ですので、皆さんも1日に何回かは耳にしているのではないでしょうか。
「になります」は、動詞「なる」を丁寧に表現する敬語です。「なる」は、変化を伴って〇〇の状態になることを表現する言い回しです。つまり、変化を伴う物事やモノに対しての表現であれば正しい使い方ですが、そうではないときに使うと誤った用法になってしまいます。
誤った使用例
- 課長、こちらが今朝届いた荷物になります。
- お手元にある資料が昨日のプレゼン資料になります。
- こちらがA社の総務担当、Bさんになります。
- この例の用法は全て誤った使い方になります。
この例の用法は全て誤った使い方で、変化を伴わないにも関わらず「なります」を使って表現してしまっています。
”今朝届いた荷物”は、これから荷物になるわけではなく既に荷物として届いているものですので、本来「なります」として表現することができないのです。
同様に手元にある”昨日のプレゼン資料”も、これから昨日のプレゼン資料になるわけではありませんね。
同じ論法で考えると、「あちらにみえる方が、A社の総務担当Bさんになります」も誤った用法ですが、今は違うがいずれそうなるのであれば正しい用法といえます。
ただ、その場合は「あちらにみえるBさんが、(来月から)A社の総務担当になります」や「A社の総務担当はCさんから、あちらにみえるBさんになります」というように、変化を伴った結果どうなるのかという表す言い回しになるはずです。
「誤った使い方になります」は、少し難しいかもしれません。
「このような表現をすると誤った使い方になってしまいますよ!」という意味で発するのであれば正しいですが、「このような使い方は誤った使い方です!」という意味であれば誤用法です。
むむむ!難しいですね。簡単に見分ける方法はないですか!?
誤った「○○になります」の簡単な見分け方
簡単な見分け方は、「○○になります」を「〇〇です」と言い換えて可能かどうかで見分けられます。
言い換えた結果、伝えたい内容が変わってしまうのであればそのまま「○○になります」と表現すればよいですし、言い換えても伝えたい意味が変わらないのであれば誤って使っているということです。
先程の例も
- 課長、こちらが今朝届いた荷物です。
- お手元にある資料が昨日のプレゼン資料です。
- こちらがA社の総務担当、Bさんです。
- この例の用法は全て誤った使い方です。
「なります」から「です」に言い換えても、伝えたい内容は変わらないですよね。
これなら簡単に見分けられそうです!
正しいかどうか迷ったときは、まず「です」と言い換えてみて判断するとよいですね。
正しい用法の「○○になります」
出来上がったハンバークを持ってきて、「こちらハンバークになります」と言うことに違和感を覚えるのは自然な感覚であるといえますね。
反対に、店員さんが挽肉を持ってきて、「こちらの挽肉、玉ねぎなどが加工されてハンバークになります」とお客様に説明するのであれば、それは正しい「なります」の使い方ですが、レストランで目にする機会は少なそうですね。
「〇〇になります」なぜダメなのか
「〇〇になります」を言い換えるなら
「○○になります」を言い換えるなら
誤った使い方をしていることがわかったら、これからは正しい表現を使うように切り替えていきましょう。
メールや会話で適切な言い換えを用いることで、相手への印象が向上します。
例
誤:「こちらハンバーグになります」
正:「こちらハンバーグでございます」
誤:「この資料が修正したものになります」
正:「この資料が修正したものです」
このように、これから変化を伴い変わるものでない限りは、「です」や、丁寧に「ございます」と言い切りましょう。